2018年10月17日水曜日

「ちょっと気になる社会保障 増補版」(権丈善一著)

青井ノボルです。

健康保険や公的年金といった、日本の社会保障制度。
ちゃんと知っているようで、実はあまり知らない世界です。

投資でも活用できるiDeCoは、年金制度の一部です。
生涯CFを考えるとき、万が一の遺族年金は重要です。

個人のお金について考えるとき、知っておきたい社会保障。
どういった仕組みで、どんな思想で設計されているのでしょう。

この記事では、社会保障の基礎知識を学べる「ちょっと気になる社会保障 増補版」を読んだ感想を書いていきます。

本書を読むことになったキッカケ

社会保障という言葉を知っていても、その中身はよく分からない。
あるいは、社会保障など全く当てにならないと考える人もいます。

ワタシもiDeCoをはじめてから、公的年金制度に興味を持つように。
Twitterやブログで学んでいる中で、気になるブログ記事がありました。

この本を読むキッカケとなった、菟道りんたろうさんの記事です。

「iDeCoの引き出し可能年齢が60歳から65歳に引き上げられるかも」という指摘は勇み足では

菟道りんたろうさんは、深い知識と教養を持っている投資ブロガーのひとり。
投資に対する確固たる軸を持たれていて、いつも勉強させてもらっています。

さて、ワタシは前述の記事を読んですぐに、本書を図書館で予約しました。

実は、図書館で本書を借りてから1ヵ月弱が経ってしまいました。
時間はかかりましたが、少しずつ読み進めて何とか読み終えました。

社会保障の実態が分かる書籍です

本書を読み終えて、社会保障への見方が大きく変わった気がします。
その実像は、マスコミで報道される社会保障とは違うようです。

社会保障ド素人のワタシには、全てを正確に理解するのは難しかったです。
それでも大枠は掴めましたし、偏った見方をしていたことを知りました。

制度の仕組みや歴史、そして根底にある考え方を知ることは大事です。
本書は社会保障専門家の立場から、平易な言葉で解説をしてくれます。

日本で生活していく以上、社会保障とは切っても切れない関係です。
だからこそ、正しい知識を付けておくことは必要なことだと思います。

本書は、社会保障の仕組みを正しい知識として知りたい人向けの良書です。

少子高齢化と社会保障

第1章から、いきなり常識を覆されたのが印象的でした。
高齢者世代と現役世代の関係と言えば、この図が常識でしょう。

少子高齢化の進展|財務省

20歳~64歳の人口と、65歳以上の人口を比較している図です。

ところが、所得を何人で生産して何人に分配するかという視点。
社会保障を考える上では、こうした視点の方が適切といいます。

つまり、単純に年齢で区切った先ほどの人口比率の図ではなく。
就業者1人が支える非就業者の人数比率こそが、重要なのです。

視点を変えて、社会全体で就業者1人が何人の非就業者を支えるかを見ると、1人程度でこの数十年間はほぼ安定しており、将来もあまり変わらない。実態としては、若い世代の将来の負担が何倍にもなるわけではない。
女性や高齢者が働きやすい環境を整え、支え手に回る人を増やすことで、少子高齢化の荒波も何とか乗り切れることがわかる。少子高齢化に耐えうる仕組みに転換するには、雇用の見直しこそが最重要課題。
(引用元:ちょっと気になる社会保障 知識補給増補版 P3-4)

高齢者も女性も、働きたい人が働ける社会を実現する。
少子高齢化が避けられない以上、やるしかないですね。

ところで、各年齢時点での平均余命という考え方があります。

1947年には、標準的な定年年齢は55歳だったといいます。
当時の55歳男性の平均余命は、15.97年だったそうです。

そして、いまの時代は65歳まで働くことが一般的に。
2010年の65歳男性平均余命が、18.74年だそうです。

仕事を引退した後の人生の長さはさほど変わらない。
多くの人が生き生きと働ける社会にしたいですね。

勉強になった様々な考え方

そのほかにも、本書に書かれている考え方は未知のものが多かったです。

  • 年金における「生産物が中心」という考え方(P18)
  • 「救貧機能」と「防貧機能」(P38)
  • 社会保障の所得再分配機能(P93)
  • 将来の話を名目値で語ってはいけない(P126)

恥ずかしながら、いずれも知っているようで知らない考え方でした。

細かい点までは理解できませんでしたが、大枠は理解できた気がします。
おそらく、大雑把にでも全体像を知っておくことは重要だと思います。

社会保障の充実で住みやすい日本へ

ワタシは5人家族で3人の子供がいます。
夫婦の親は勿論、祖父母も存命です。

立場の違う世代ですが、皆が過ごしやすい社会になって欲しい。
身近な人を想像してみると、自然とそんな気持ちになります。

本書を通じて、社会保障の基礎的な知識を習得できたと感じています。
また、世代間の助け合い制度である社会保障の重要性を再認識しました。

社会保障を正しい方向に導き、住みやすい社会とするために。

個人にできることと言えば、まずは正しい知識を持つこと。
社会保障の意義やメリットを理解して、日常生活を送ること。

ワタシも少しずつ実践していきたいと思います。

iDeCoをキッカケに、菟道りんたろうさんのお陰で出会えた本書。
学びの多い書籍ですので、みなさんもぜひ読んでみてください。

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